ぼくは時々、「自分の趣味にあわなそうなものに、あえて手をだしてみて、見聞を広げるぜ大作戦」というものを行っている。


自分にコレは合わんやろと、なんとなく手を出さないようにしていた娯楽に思いきって接してみて、教養を深めようという作戦だ。


まあ、ほとんどが外れだったが、(赤ちゃん雑誌のたまごクラブとかデューク更家のウォーキングの本とか読んでみたがつまんなかった。アタリマエジャボケ)いくつか素晴らしいものにも出会えた。


その代表的なものが、かの少女漫画の名作「ガラスの仮面」である。


ぼくの少女漫画に対する苦手意識をぶっ飛ばしてくれた作品である。あの絵柄に慣れれば、どんな少女漫画でも読める。


平凡な少女北島マヤが演劇の世界でガンガン成り上がるというお話。


面白い。物凄く面白い。


初めて立ち読みで全巻読破してしまった作品である。


断言しよう。この作品は、少女漫画の皮をかぶった王道の少年漫画である。


画風こそ、瞳孔キラキラ背景にお花フワフワの少女漫画であるが、その根底には少年ジャンプのような「努力!友情!勝利!」がどろどろと流れているのである。


わかりやすい例が、ストーリー上の演技の特訓シーン。


盲目の人物を演じるために、一日中、目隠しして過ごし、階段から転げ落ちたり、硝子窓に突っ込んで血まみれになる。


寒い国の姫を演じるために、業務用冷凍庫に閉じ込められる。


狼を演じるために山に籠り、遭難する(注・少女マンガですよ)。


なんなんだこの熱さは?


まるで梶原一騎漫画(古いなあ…)のような凄まじい展開に、ぼくは夢中になった。


ぜひ男にも偏見を捨てて読んでほしい漫画である。