この映画になぜこれほど感動させられたかというと、「生きるってすげえ」と実感させられたからだ。


この「実感させられた」ということが重要なのだ。


「生きるって素晴らしい」ってことは、だいたいのひとは、なんとなく理屈ではわかっていると思う。でもそれを実感する機会は、なかなか無い。毎朝、起きて、


「うわあああっ!おれ今日も生きてるよ!どっしぇーっ!すげえすげえっ!やっほーっ!」


とはならない。「生きているのは当たり前」という感覚で、なんとなく日常を過ごしてしまう。学校行って、飯食って、眠ってしまう。自分のそんな日常が、素敵なものだなんてとても思えない。


それでも、長い人生、誰でも、「生きるっていいな」って味わえる瞬間が何度かあるとは思う。


ぼくの場合は、出産に立ちあったときとか、めちゃくちゃ腹減ったときに食べた巻き寿司のうまさとか、うまくいえないが、だいたいがすごい経験をし、感動したときだ。


でもそんな体験をしても、翌日には「生きてるのは当たり前」な自分にもどってしまう。