溺愛協奏曲

一通り話し終えると香織さんの溜息が聞こえてきた




蓮はあたしの手を握りしめたまま眉間に深く皺を寄せて考え込むようにしていた




「紗枝子って女も馬鹿ね・・・・・一番大事なものに気付かないなんて・・・


蓮に言われて気が付くなんて本当に馬鹿としか言いようがないわ!



でも蓮!あんたも悪いのよ!いくら坊城グループに脅されたとはいえ



あんな女と突然婚約だなんて最初聞いたときなんの冗談かと思ったわ



パーティで顔を合わせると決まって毛嫌いしてたあんたが婚約って



聞いてなんかあるっては思ってたけど・・・・はい!終了」




「香織さん・・・ありがとうございました!」




「ふっ・・・・いいのよ!こっちこそうちの馬鹿な弟が迷惑かけちゃって、本当にごめんね」




香織さんは両手を合わせながらあたしに謝ってきた



久しぶりに見る香織さんは綺麗な長い黒髪を一つに結わえて真っ白な白衣を着て・・・・




相変わらず美人で弟思いの素敵なお姉さんだった



「いいんです!あたしもパーティに乗り込んでって色々迷惑かけちゃったし・・・・


なんか申し訳ないです・・・」



「莉子ちゃんが謝ることなんてなんにもないのよ!もとはと言えば悪いのは


紗枝子ってお嬢様とうちの蓮なんだから!!でもきっと坊城グループの総帥が



悪いようにはしないわよ」



香織さんはそう言ってあたしの頭を撫でた後忙しそうに病室を後にして走って行く




残されたあたしと蓮はゆっくりと立ち上がると病院を後に家路を急いだ