溺愛協奏曲

「お前、あの約束忘れてねえだろうな?」



「は?約束って?」




恍けたような顔をしている紗枝子に呆れ果てて溜息をついた



ふざけんじゃねえ!



この女もう忘れてんのかよ?こいつ馬鹿か?




心の中で悪態をついた後紗枝子を睨みつけたまま俺は話し出した



「莉子に手出ししねえって約束だ・・・・忘れたなんて言わせねえぞ」



「ああ・・・・そのこと?大丈夫よ、婚約も了承してくれたことだし指一本触れない


って約束するわ」



紗江子は組員たちのいる前で大きな声で言うときっぱり約束してくれた



だから俺は安心していた、まさか組員が居る前で約束してくれたことをあっさり



反故にするなんて・・・・




俺が甘かった、油断したといえばそれまでだがまさか莉子が婚約パーティに来るなんて




思いもしない・・・久しぶりに見た莉子は相変わらず綺麗だが驚くほど痩せて



俺の前に現れた、瞳が死んでいる・・・・咄嗟にそう思った



元気そうに振舞ってはいるが憔悴しきっている、そんな風に感じられずにはいられなかった



隣に紗枝子が居ても無意識に莉子を目で追う




莉子の隣には拓巳がそっと守るように寄り添っていた



俺は二人の様子をただ黙って見つめるしかなかった