溺愛協奏曲

何も言わず去った俺を莉子はどんなふうに思っているだろうか・・・




呆れ果てて見放したか?それとも毎日泣いているか・・・




酷い男だと思っているだろう、そんなことを思いながら毎日を過ごす




正直言って莉子に逢えない毎日は辛くて夜は何度も目を覚まして眠れない日々が続いていた



加えてここ最近は紗枝子が東條組に顔を出すことが多くなり、俺のイライラは増すばかり




我が儘で気位の高いこの女に俺は疲れ果てていた・・・例を挙げるならこんなことがあった




ある時この女は東條組に来るなり赤ん坊の声がうるさいと突然言い出した




赤ん坊とは俺の腹違いの弟、翔のことだ



夜泣きもかなりするらしく義理の母である由美子さんは毎日寝不足が続いている




まあ、血の繋がった弟だからなのか俺は泣いていても大して気にならないのだが



この女は気に障るのか自分が来るときは保育園に預けろと言い出した



「は?保育園だと?なんでだよ!ちゃんと由美子さんて母親が面倒見てんのに


なんでそんなとこに預けなくちゃなんねえ」




「鳴き声がうるさくて仕様がないの!あたしが来てる時だけでも預けてよ


24時間面倒見てくれる保育園だし翔くんは特別に2名のベテラン保育士さんと



看護師さんを付けるから安心よ!もう手続きもしてあるから大丈夫」



そう言って無理矢理翔を保育園に預けることになった



俺は半ばあきれ気味、溜息をつきつつ紗枝子に話し出した