溺愛協奏曲

「莉子・・・どうした?大丈夫?」



「なんかほっとしたら力が抜けちゃって・・・・」




慎ちゃんが苦笑いしてあたしの腕を持ちそっと立たせてくれた



あたしの腕を持ち支えるようにゆっくり歩きながら花さんに近づく



花さんはあたしに気が付くとにっこり微笑んで何事もなかったかのように呟いた



「あら典子、どうしたの?こんなところまで来て・・・・」



「花さん、哲さんに黙って来ちゃ駄目じゃない!みんな心配するでしょ」



「典子・・・哲さんは今日も仕事で留守だしあたしのことなんて

どうでもいいんだよ・・・あの人にとって仕事が恋人であたしなんて


二の次なんだよ」



「花さん・・・そんなことないよ哲さんは「莉子、見つかったのなら早く連絡しないと」」



「あ・・・うん、そうだね忘れてた!あたし電話してくるから慎ちゃん花子さんみてて」




「了解!」




慎ちゃんに花子さんを預けると急いで哲さんに連絡をした



哲さんは電話口で大きな溜息をついたかと思うと心の底からほっとしたような声を出す




今から車で迎えに行くという哲さんを待ちながら三人で他愛もないことを話した



慎ちゃんと花さんはまるで長年逢っていなかった孫とおばあさんのように意気投合



花さんの昔話に慎ちゃんは黙って聞き入っていた




それからしばらくして哲さんも合流




恐縮して何度も謝る哲さんに逆にあたし達の方が恐縮してしまって・・・まあ



とにかく暗くなってきたし後日改めてってことでその場で花さんたちと別れて公園を後にした




「このおじいさん・・・何処かで見たような気が・・・」



慎ちゃんがそんなことを呟いていたなんてあたしは知らずに急ぎ足で車に乗り込んだ