「慎ちゃん・・・・どうしてここに?」




「どうしてって・・・目の前にあるホテル、僕んとこのホテルなんだけど・・・・」




慎ちゃんが指を差す方向には道路をはさんで大きなビルが立ち並びその一角に




高級そうな一際目立つ建物が目につく




回転扉がくるくると回り忙しそうに出入りするビジネスマンや親子連れ



タクシーが数台ホテルの前に停まっている


って・・・・ここって慎ちゃんのところのホテルだったんだ・・・知らなかった



「なにげなくカラオケボックスのほう見ていたら何だか見たことのある女の子

を発見して近づいてみてみれば莉子じゃないか!それもノーヘルの男の子の運転する


バイクに乗るなんて・・・慌てて車回してきて正解だったな・・・


でも、何か急いでたみたいだけど何かあった?」



「・・・・・あ、あのね実は「あんたには関係ない、莉子ちゃん行くよ」」



拓巳くんは慎ちゃんのほうを一瞥したかと思うとバイクのエンジンを思い切り踏んだ




「ちょっと待て!そのバイクに俺の大事な莉子を乗せる訳にはいかない

何があったか知らないが莉子にはこちらの車に乗って後から合流してもらう

いいね?」




「・・・・ったく、仕方ねえな・・・じゃあ莉子ちゃん俺学校のほうとか

捜すからあとでおばあちゃんの写真俺の携帯に送っといて俺、見つかったら連絡

するから!じゃまた」



拓巳くんはあたしにかぶせていたヘルメットをはずすと急いで自分の頭に


ヘルメットをかぶせバイクを走らせてこの場を去って行った



その姿を黙ってみつめているあたしは拓巳くんの優しさに感謝の念でいっぱいだった



だって見ず知らずのおばあさん捜してくれるんだもんね