今回の決戦に向けて立花が要求した中に榊原の名前があった。

 仕方なく黒田がお願いしに行くと榊原は興奮を隠そうともせず大いに舞い上がった。

榊原
「俺を呼び出すなんぞあの小僧良い根性してんじゃねーか!

 直ぐに行ってぶっ飛ばしてやる。

 黒田、車両を回せや!」

 榊原は例の如く事務所に行き内線電話の受話器を取った。

榊原
「おうっ俺だ。

 課長をだせや、おう俺だ、おっおう分かってるじゃねーか。

 寝ずに作りまくれよ」

黒田
「森君、俺が箱根を完璧に牛耳った暁には兵器部をやろう」

 森は苦い顔をした。

榊原
「俺は手下を引き連れて先発するぞ!

 竹中のとうちゃんに言っといてくれや」

 榊原はそういうと慌ただしく出発の準備に取り掛かった。

黒田
「やんなっちゃうよなー、ダイア改正しなきゃいけないじゃん。

 無理って言ったら俺の腕もレンチで折られるかな」


「榊原部長がいる限り全部牛耳るは不可能ですね、僕は安泰だ」
 
 各ポリス、各部署から人員と兵器をかき集め前線に送る。

 只これだけの事だが大きくなれば成る程、難易度は上がった。

 しかし森はそれらを全て把握し黒田に報告、黒田が進軍の的確な指示を出していたが陰で支える功労者も当然いた。

黒田
「まあそこを何とか頼みますよ」

 黒田が話しているのは民事の列車管理部長の毛利であった。

毛利
「勘弁してくださいよ機関長をあげたじゃないですか、それなのに今度は火薬やボンベ、荒くれ工員積んで前線行けって全部爆弾みたいなもんじゃないですか」

黒田
「まあそこを何とか頼みますよ」

毛利
「誰もそんなのやりたがらないですよ」

黒田
「えっ?確か毛利さん列車運転出来ますよね?」

毛利
「勘弁してくださいよ、せっかく部長までなったのに死にたくないですよ」

黒田
「石炭も満載でお願いします。前線に補給しなきゃ」

毛利
「勘弁してくださいよ、石炭だって貴重なんですから」

黒田
「まあ無理なら榊原さんに言っちゃおー」

毛利
「兵器部の?やりますよ、やればいいんでしょ?」

黒田
「報告では進路に敵の戦力は皆無ですし、きっと安全ですよ」

毛利
「勘弁してくださいよ、前それ言った時バッチリ襲われたの覚えてないでしょ?」

黒田
「はい、これ優待券あげますから」

毛利
「うん、まあやるだけやりましょうか」


「何の優待券ですか?」

毛利
「命をかける価値のあるものさ少年。

 じゃあ失礼します」

黒田
「お願いします。あ!

 榊原さん直ぐ出発するって、ダイヤ改正もお願いします」

毛利
「勘弁してくださいよ、これ使う暇ないじゃないですか!」

 毛利部長は榊原が待っていると聞いてすっ飛んで行った。


「何の優待券ですか?」

黒田
「そらモテない男が命をかけるなら正義において他は無いだろうよ、じゃあ次は斉藤大佐いってみようか」


「斉藤さんもいかがわしい優待券で?」

黒田
「斉藤大佐はほっといても勝手に命をかけるさ」


「っぽいですね」