発電所で捕らえた東名の捕虜達が自信を持っていた防衛拠点のキャノンキャニオンは火龍の一団のみで攻略された。

 しかも日が沈む僅かな時間での決戦で全てが決まったのだ。

 多くの渓谷にあった砲台は砲撃戦で破壊され夜になっても燃え続けていた。

佐竹
「夜になる前に落とせて良かったですね?」

立花
「本当は二回に分けて攻略するつもりだったんですけどね」

佐竹
「予想以上に敵が弱かったって事ですか」

立花
「こっちは夕日による目眩ましに、偽装車両でのダメージの軽減と硝煙に紛れての突入隊やら策を講じてましたけど」

佐竹
「向こうは何もしなかった」

立花
「そうです。発電所を落とされたのにも関わらず、策らしい策をとらないなんて、向こうの上層部も腐敗してるかもしれませんね」

佐竹
「敵ながら下で戦う者が不憫ですね」

立花
「策があっても敵の砲台網に特攻する部下も可哀想ですけど」

佐竹
「しかし敵の砲台の数に比べて被害が少なくすみそうです」

立花
「機能している砲台が少なかったんですよ。
 
 弾薬不足か技術力不足かですかね?」

佐竹
「これなら東名まで楽に進めそうだ」

立花
「発電所までは先手先手をとれたし、敵の策が無かった。
 
 次はどうなるかわかりませんけど」

佐竹
「そろそろ敵も本腰入れて防衛しますかね?」

立花
「ここは防衛力が高いから安心していたのかも知れないですし、少なくとも何かしらの手は打つはずだとは思いますけど」

佐竹
「あのジャズハンマーも使えますね」

立花
「降伏する間も与えず殲滅するのはちょっとずるい感じですけど、まあ仕方ないですね」

佐竹
「歩兵隊もやってくれましたね」

立花
「ええ、大部隊での攻略ならもっと警戒されたでしょうけど上手く入ってくれて良かったです」

佐竹
「崖の中は人数少なかったんですかね?」
 
 この後に死体数の報告を受けて二人は驚いた。両壁合わせて百を越えていたのだ。

立花
「早く攻略してくれたから助かりましたよ」

佐竹
「事実上白兵戦で箱根のツートップグループに最適化された怪物ですしね」

立花
「確かに」

佐竹
「反撃ありますかね?」

立花
「ここを落としたのは大きいですよ、安易に敵も踏み込めないでしょう。
 
 地形が地形ですし」

 それでも安心出来ないと分かっていた二人は次の戦闘に備えるために気持ちを切り替えるのであった。