** 小春の物語 **【完】








変わった奴だな……

ぼんやりそう思っていると……、



『……どっこいしょっ!』



目の前の奴が急に
声を出したかと思うと…

大きなリュックを降ろして、
いきなり寝袋を用意し出したのだ。



はっ…?何をしているんだ、こいつは。



「…おいっ、お前…

な…なにしてるんだ?」



さっき変わった奴だな…と言ったのが
俺の中で、確信へと変わった。



『見ての通り、今夜はここで一夜を過ごす予定なんですが……。

……どうかしましたか?』




おい、待てよ…。


“どうかしましたか”の
レベルじゃねぇよ。


こいつ、今日、ここで寝るつもりか!?


どんだけ馬鹿なんだよ。


しかも、今はまだ、夕方だぞ?!


俺は、ありえんとばかり橘に
電話をかけることにした。


「大至急、メイド用の個人部屋を用意してやれ。」


『はい、かしこまりました。』


はぁ……。
全く…どれだけ世話をやかしたら
気がすむんだ……。


そう思っていると…
目の前の女が、目を見開きビックリした表情で、訴えかけて来た。