** 小春の物語 **【完】









『ちょっと…、天野さん。

お時間、空いているかしら?』


そう言う声が聞こえて…、

パッと後ろを振り返った。


そこに居たのは…、
言うまでもなく…麗華さんだった。


「あっ!麗華さん!

おはようございますっ!!!

一体、何の御用でしょうか?」


今日は、黒のドレスを着ている麗華さんは、すごく色気が出ていた。


『ふふ…。

貴方、さっき…、どうして拓海の部屋から出て来たの?』


……?

なんでそんな事を聞くんだろう?

そう思いながらも…、
正直に答える事にした。


「毎朝、拓海さんを、起こしにいくから

……今日も行っただけですけど……?」


そう言うと…、

ちょっとだけ睨まれたような気がした。


『……貴方、気に食わないわ。

もう、拓海を起こしに来なくていいわよ』


「……えっ…?」


『……はぁ…鈍感ね。

私ね、拓海の事が好きなの。

愛しているの。

だから、貴方には近づいて
欲しくなくて……。


貴方なら…、応援してくれるわよね?』