** 小春の物語 **【完】









そんな寝顔を見ていると…、


自然と笑みがこぼれてくる。


だけど…拓海さんにも仕事がある。


よし…起こすのが勿体無いけど、頑張って…起こすぞ…!


そう自分に言い聞かせて…、
いつも通り声をかけた。


「たーくーみーさーんーっ!

おーきーてーくーだーさーいーっ!」


大声で名前を呼ぶと…
ムクッと起きて目を覚ます。


『ぁ…こ、小春か。おはよ。』


そう言って、目をこする拓海さんは…

小さな男の子みたいで…、

私は、朝から笑っちゃいそうになる。


でも、私も、次の仕事がある。


ここに突っ立ってちゃいけない。


そう思って、静かにここを出た。


まさか、この時…。

ある人物にこの場面を
見られているとも知らずに……。