私は、自然と視界がぼやけている事に
気づかなかった。
『おい、なんで泣く必要がある?』
「…えっ……、あ、ほ…本当だ…。
いえ…あまりにも神崎さんの言葉が嬉しくて…つい……。
本当に、有難うございます…。」
『ああ…。もう、礼はいらん。
それより、
そろそろ執事が迎えに来るから…
中に入るぞ?』
「はいっ!!!」
神崎さんは、私が考えていた人より、
何千倍もいい人だ。
こんなみすぼらしい者まで
優しく接してくれて……
__ドキッ
な、なにっ…!?
ド…ドキッって!!
人生で初めて聞く心音に
ビックリした。
ただ、その心音の正体が何だか
分からなくて…モヤモヤしていると…
執事さんが来て、
豪邸の中を案内してくれた。