** 小春の物語 **【完】








『…あ……あぁっ…。』



髪を掻き上げながら
返事をする神崎さんは、
本当に男らしく見えた。



私の将来の事まで…
心配してくれていたんだ。


何だか……嬉しいなっ


よしっ!明日から全力で働くぞっ!



「……どっこいしょっ!」



私は、今日泊まる用の寝袋を出し、
寝る準備をした。



『…おいっ、お前…

な…なにしてるんだ?』



「見ての通り、今夜はここで一夜を過ごす予定なんですが……。

……どうかしましたか?」



そう言うと、ズボンのポケットから
スマホらしき物を取り出し、

誰かに、電話をかけ始めた。



“もしもし…”



『…もしもし、拓海だ。

今日から、お泊まりする者がいるんだ。

大至急、メイド用の個人部屋を
用意してやれ。』



“はい、かしこまりました。”



『今、執事に連絡したから、

中で寝ろ。』



「……っ!?

どうしてですかっ…!?」



『…何がだ。』



「わ…私、み…みんなに除け者扱いされるんですよ!?

そんな私がこんな豪華なお城の中で寝ても良いのですか!?」