** 小春の物語 **【完】









ビックリした。


あの小春がビチャビチャに濡れながらも、集合場所の傍まで来ていたから…。



俺は、小春の傍まで行くと…、

「おいっ、お前!
もっと早く、帰ってこいっ!」

と、声をかけた。


だけど…
小春は、立つ気力もなかったみたいで…


フラッと俺の方に倒れて来た。



『ぁ…た、拓海さん……。

この…ピアス、香苗さんの…なの…。

どうか…香苗さんに返して、あげ…て』



片方の手にぎゅっと握っていたピアスを
俺のポケットにいれた。



「わかった。」



俺は、そう言うと…
小春を優しく抱きしめてから…


横抱き(お姫様抱っこ)をして
全速力で走った。



小春の服は濡れているのに、体温は物凄く高かった。

そして…相変わらず、小春は軽い。



「熱、出すまで…頑張るんじゃねーよ」



そう呟きながらも
直様、病院に行く事にした。