** 小春の物語 **【完】










香苗さんが、初めて私に見せた表情。


あんなに優しくて、切なく…どこか哀しい顔をしていた香苗さん。


その香苗さんの想いを秘めたピアス。


絶対に、落としたまま
帰る訳にはいかない。


私は、走り回りながらも今日訪れたばかりの店に足を運んだ。



でも、どこを探してもピアスらしき物は
落ちていなかった。


「……諦めて帰るなんて事…
絶対にしないもん!」


そう歯を食いしばって探している内に…




___ポタッ




「ぁ…雨?」


私がそう言ったのと同時に勢いを増しながらも、

大粒の雨が体を濡らしていった…。



「…寒ぃっ……。」



そう言いながらも、行先行先で、ピアスを探したんだけど…見つからなくて、


私は、ふっと思い出した、海と山に行く事にした。


「早く、探さなきゃ。風邪ひいたら、また、みんなに迷惑かけちゃうよ……、」


そう思いながらも…走って走って、海岸を探し回っても見つからなくて……、


少し暗くなった山に入り…
今日通った道からピアスを探した。





一体、どれほどたっただろうか。





私は、気を取り戻した時には片方の手にピアスを握り締め、

集合場所へと走っていた。