** 小春の物語 **【完】









さっき、
インターホンで聞いた声が耳に響いた。



「……えっ!?」



うっすらと目を開けてみると、

流れてゆく道が見える。


いわゆる、わき腹の所に
抱えられながら、走っているのだ。



そして…いつの間にかストンと檻の外に立たされていた。

私は、彼を見てビックリした。



黒で無造作に整えられた髪。
きちんと整えられたスーツ。
スッと綺麗な目と、唇。


そして、胸に輝く…


神崎家の者だけが着ける事のできる、
キラキラと高そうなバッチ。


私が見てもかっこいいと
思ってしまった。



「あっ!!!神崎さんですよねっ!?

助けていただき、有難うございます!」



しっかりとお礼を言ったけれど…

神崎さんの顔はものすごく
不機嫌そうだ。