「優希、ありがとね!今日はすっごく楽しかった!!」
「いいってことよ!なんたって私は、柚の親友なんだから!」
二人で笑いあって、街中を歩いていた。
人も少なく、暗くなってきたから帰ろうとしていた頃。
パッと目に飛び込んできた人。
「矢野先輩だ…。」
「え、うそ、どこ!?」
周りを見回している優希に教えるように、指をさした。
「ほんとだ!行ってきたら?」
「え、でも……。」
「大丈夫!私はいいからさ。」
ニコッと微笑みながら、送り出そうとしてくれている。
「だけど、行っても迷惑じゃないかな?」
「平気平気!」
そう言う優希に応えるように頷くと、一歩ずつ踏み出して歩き出した。
しかし、見たくない光景を目にしてしまう……。
進んだ道を後ずさって、優希のいるところまで戻った。
「柚……」
優希もそれに気づいたみたいで、心配したように私に声をかける。
「あれって、篠山先輩だよね。」
ぼーっと先輩のいる一点を見つめながら、優希にいった。
