王様のいる学校





俺の話も終わって、やっとまたみんな歌い出した。



盛り上がってきた打ち上げ。


楽しそうなみんなの顔を見ていると、すごく微笑ましかった。



しばらくして、息抜きに少し部屋から出ることにした。



「どうなさいましたか?」



壁に寄りかかっていると、歩いてきた店員の人に声をかけられた。



「あ、いや、なんでも……」


そう言って顔を上げる。


「え…?」





店員の顔を見たら、知った顔で……


「よお、爽やかくん!」



爽やかくん、なんて呼ぶ人は一人しかいない。



「なんで、先輩……」


立っていたのは、俺が嫌いな矢野先輩。



「俺ここでバイトしてっから。」


「ここでって、片岡と一緒に?」


「まあな。てか、あいつが勝手に後から入ってきたんだ。」



うそだろ……

同じところで働いてる……


夏休みだし会わないだろうなって思って、安心してたのに。


バイトのたびに会えちゃうじゃんか。




そう思ったらイライラしてきて、先輩を睨みつけた。