〜藤side〜
夏休みも半ば。
今日は試合終わりの打ち上げだ。
レギュラーメンバーのみんなで、あるカラオケ店にきていた。
「藤ー、受け付け頼んだー。」
先輩たちもタメのやつらも、面倒なことは全部俺に押し付ける……。
「はいはい。」
俺は店の中に入り、受け付けへ。
「あのー、11人でお願いしたいんですけど……」
奥でなにやら真剣に、パソコンとにらめっこしている女の人に声をかけた。
「はーい、少々お待ちください。」
そう言って立ち上がり、パッと顔をこっちに向けた。
「え……。」
「え……。」
二人して目を合わせたまま、固まった。
そのあと先に口を開いたのは、向こうで…
「ふ、藤くん……?」
目をまん丸くして俺を見る。
まさかこんなとこで会えるとは、思ってなくて……
心の準備もしてなかったし、それに驚きすぎて何も言葉が出てこない。
カラオケの受け付けにいたのは、
片岡だった。
