「先輩……?」
私を助けてくれたのは、紛れもなく矢野先輩だった。
そしてなぜか不機嫌そうに立っている。
「どうして、先輩がここに?ていうより、その格好……。」
「たくっ…。最近入った鈍臭い新人って、お前のことかよ。」
そう言って、だるそうに頭をかく先輩。
てことは、やっぱり……
「矢野先輩、ここでバイトしてたんですか…?」
格好は、バイトの制服。
これはもう確実、だよね…?
「ああ。」
ぶっきらぼうに言う先輩。
少し懐かしさを感じていた。
しばらく会っていなかったし…
ずっと会いたいと思っていたから。
「あ、じゃあ先輩たちの言ってた、自己中で短気なイケメンって……」
入りたての時に、いろんな先輩から噂で聞いていた。
最近全然バイトに入ってないって聞いてたけど、矢野先輩のことだったんだ。
「あ?」
ボソボソと一人で言っていると、明らかにイライラむき出しの声が聞こえた。
「いえ、なんでもないです…。」
