「いいなー、みんな予定がちゃんとあるんだね。」
「ほんと。私なんて、バイトでこの夏が終わりそう…。」
そっか。
優希はバイトがあるんだ。
最近いろんなところで掛け持ちをはじめたらしく、大忙しらしい。
それを聞いて残念に思いながら、私には本当に予定がなくて困っていた。
遊ぼうにも、優希はずっとバイトみたいだし。
「私の夏休みー…。」
そう言ってため息をつくと、ひらめいたように優希がいう。
「ねえ、矢野先輩!誘ってみたら?」
「え?」
また突拍子もないことを言う。
先輩を誘うなんて無理に決まってる。
私は首をぶんぶん横に振った。
すると、優希はニコッと笑って
「大丈夫だって!」
と、余裕そうな顔をする。
優希の大丈夫は、どこに根拠があるのか全くわからないんだ。
だけど、どうせ暇……
ダメもとで誘ってみようと思った。
それに、夏休みも会えるものなら会いたかったから。