一日の練習試合が終わって、俺は水道で顔を洗っていた。
水浸しになった顔を拭こうと、タオルを手探りで探す。
すると、誰かが手渡してくれた。
「あ、ごめん。ありがとう。」
下を向いたまま受け取り、タオルで拭いた顔をあげた。
「いいえ!」
満面の笑みで立っていた女の子。
これが片岡との出会い。
初めて話した瞬間だった。
「お疲れさま!」
水道で手を洗いながら、ニコッと笑う。
今思えば、一目惚れだったんだと思う。
ふわふわした栗色のミディアムヘア。
ぱっちりとした目。
キレイな笑顔で笑う彼女に……
一瞬で心をうばわれたんだ。
「試合、かっこよかったよ!」
「あー、ありがと!でも俺、全然出てないけど…」
誰もいない水道で、話していた俺ら。
恥ずかしそうに言う俺に、片岡はまた笑顔で言った。
「そんなことない!一年生なのにシュートも決めて、すごかったよ!」
「そうかな?」
「うん!さすがだね、藤くん。」
