「先輩に連れてかれたよ。」
思い出すだけでもムカついてきた。
あの先輩、絶対わざとやってる。
俺の気に障ることばっか……
「ふーん、なるほど。そういうことね。」
俺の顔をまじまじと見ながら、ニヤニヤして頷いている。
勝手に納得したように。
「ま、何言われたか知らないけど。ちゃーんと気持ち伝えないと、いつまでたっても進展しないよ?」
そう言われて、俺の頭の中は真っ白。
「は?」
全てを知っているような言い方だ。
目は点になって、宮野をじっと見る。
何を言い出すかと思えば。
気持ち伝えるって、まさか……
「え?何、その反応。私が気づいてないとでも思ったの?」
知っているのか?
たしかに、一年の頃からなんだかんだ一緒にいる時も多かった。
だけど、そんなにわかりやすいことをした覚えは……
「とにかく!柚は鈍感なんだから。全然、藤の気持ちには気づいてないよ?」
「やっぱり…。」
改めてショックをうけた。
