〜藤side〜
矢野先輩が片岡を連れていって、一人になった俺。
さっきまで座っていたコンクリートの上に、寝そべって空を見ていた。
「あれ、藤?」
いきなり空の中にヒョコッとでてきた顔。
「うわっ…!」
足音にも全然気づかなくて、驚いて起き上がった。
「宮野?ビックリさせるなよ…」
宮野 優希。
片岡といつも一緒にいる親友。
そして俺も、仲のいい女友達の一人。
「ごーめん、ごめん!」
宮野は笑いながら、俺の横にスッと座りこんだ。
「てかこんな所でたそがれて、どうしたの?」
「え?あ、いや……」
「なんかあった?」
戸惑っている俺に、ニコッとしながら聞いてくる。
宮野は勘のいいほうで、いろいろよく気がつく。
だからきっと俺のことも、多少勘づいているんだと思う。
でも、そのことに触れられないように違う話題に話をそらす。
「てか、そっちこそ何してんの?」
「ああ、柚探しててさ。どこ行ったか知らない?」
片岡か……
