王様のいる学校




やっぱり目も合わせなくて、話もしてなかったら、変に見えるかな?

いつも一緒にいたんだもんね。


「ていうより、早くない?」


突然優希が顔をしかめた。


「え?」


いきなりどうしたんだろう…

早いってどういうこと?


不思議そうにしている私を見て、呆れたようにため息をつく。


「柚、あんたね…。矢野先輩が好きって宣言したばっかなくせに、もう藤と揺れてるの?」


「揺れてる…?って、え!?」


優希の言葉に驚きすぎて、思わず大きな声になってしまう。


「ちょっとうるさいから…」


「え、だってそんなはずないじゃん!藤くんは大切なお友達だもん。」


うん、友達。


だから今こうやって、違和感があるように見えるのは…

揺れてるとかそんなんじゃなくて…




「ほら、借り物走であんなこと書いてある紙引いちゃったから。女の子連れて行くにも、相手に誤解させたら大変じゃん?だから一番無難っていうか、手近な私を選んだんだと思う。」




そう言うと、優希は訳がわからないような表情でとりあえず頷いている。