真剣な顔でじっと見つめられていた。
「藤…くん?」
私がやっとの思いで絞り出した言葉。
すると真剣な顔はふっと笑顔に変わった。
「俺、片岡の笑顔好きだから。」
私の心臓はドクドクと激しくなりだした。
そんな優しい目で…
そんなステキな笑顔で…
そんな言葉を言われたら、ドキドキしないはずがない。
私が恥ずかしそうにうつむくと、スッと掴んでいた手をはなした。
「全部本心。嘘は言ってないから。」
「あ、ありがとう。」
直球すぎてすごく恥ずかしい。
というか、照れる。
借り物走の競技は終了して、昼食時間。
私は優希と二人で日陰に座っていた。
「藤となんかあった?」
「え、え?」
見透かしたような目をしていて、あからさまに動揺してしまった。
「わかんないとでも思ったの?わっかりやすい。見てれば一目瞭然じゃない。」
私はあれから、藤くんと一度も目を合わせようとしなかった。
というより、目を合わせられなかった。
「二人して違和感満載。」
