王様のいる学校




先輩が好き。


そう気づいてしまったら、顔がほてって熱くなった。


「どうしたのよ、顔真っ赤にして。」


「ゆ、優希!」


顔をのぞきこみながら、ニヤニヤしている。


「あ、あのね…。優希。」


「ん?」


「私、矢野先輩のことが好き!」


気づいた気持ちをすぐに言いたくて。

一番の友達に言いたくて…



「やっと気づいたか。」


ニコッと笑った優希は、私の頭を撫でた。


「ちゃんとアタックして、実らせろよ?その恋。」


その言葉に大きく頷いて、二人で笑顔になった。





競技が進んでいた中、放送が流れる。


借り物走。

藤くんが出る競技。



「藤の借り物走。応援しにいくか!」


「うん!」


私たちはクラス席の一番前まで進んでいった。


するともうすでにスタートしていて、テーブルに並ぶ借り物の紙を目指して走っていた。


一番を独走している藤くんは、大勢の女の子から応援の声が響き、そこら中から聞こえる。


私たちのクラスの声がかき消されてしまうほど……