「斗真、まだあのこと気にしてるの?」
昔のことを思い出していた俺は、ルイの声にハッとした。
「あれは斗真のせいなんかじゃない。斗真が気にすることなんて……。」
そう言うルイの前で、いきなり立ち止まった。
そんな俺の顔を心配そうに覗き込む。
「俺は決めたんだ。お前を守ること。」
あの事件で深く傷ついたルイを、俺は一番近くで見ていた。
その時、絶対守ると決めたんだ。
どんなにつらかったか…
どんなに怖かったか…
俺は痛いほど知ってしまったから。
あれ以来、ルイは男恐怖症になっている。
ただでさえ、近寄ってくる男が多い。
だからいつもクールにみせて、近寄り難いオーラをだしてるんだ。
笑顔をあまり見せないルイの心には、こんなトラウマが隠れている。
そのことを他のやつらは知らない。
「絶対、守るから…」
そう強く誓って、また歩き出した。
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