「お前って、すぐ顔赤くなるんだな。」

まじまじと私の顔を見て言う。


ただでさえ先輩のことを考えていたのに、ここまで見られていると恥ずかしくてしょうがない。


一度意識すると、とどまることを知らず…

どんどん顔は火照っていく。


「ほんと、りんごみてえ!」


「り、りんご?」


「よし、決めた!今度からお前のこと、りんごって呼ぶわ。」


先輩は、ニコッと笑顔で言った。


でも、先輩…

私の名前は「柚」です。


「りんご」じゃないです。


私はすぐそこまででてきた言葉を、のみこんでしまった。


言ったところでどうなるわけでもない。

それに呼んでくれる保証もない…



恋愛対象には入らない、というようなことも言っていたし…


「じゃあな、りんご!」


いつの間にか昼休み終わりのチャイムが鳴っていて、先輩はいなくなった。


一人残された私は、ボーッと座り込んでいる。


結局、りんごになっちゃった…


でも、いつも「お前」だったから。

それよりかはいいのかな…



無理やり納得しながら、私も先輩のあとを追って屋上をでた。