王様のいる学校




「もう一ヶ月も一緒なんだろ?何も起こらないわけないよ?」


私の横を歩きながら、不思議そうに腕組みをして考えている。


「先輩にとっては、ありえないことですもんね。」


意地悪く、笑って言った。


と、その時。

私の目には、見たくないものが見えてしまう。


「矢野、先輩……。」


誰にも聞こえないくらいの小さな声でつぶやいた。


先輩の隣りには、生徒会長の桐瀬先輩。


楽しそうに歩く二人の姿に、なぜか心がまた締め付けられた。


放課後に残っていた生徒たちも、その二人に注目していた。


それもそのはず。

みんなが知っている桐瀬先輩は、いつもクールで笑顔なんてあまり見せない。


そんな先輩が笑顔で、楽しそうに話している。


それを見て、廊下はざわついていた。