私が矢野先輩のターゲットにされてから、一ヶ月が経とうとしていた。



このことは校内でも注目の話題。


それもそのはず。


いつもの学園ゲームとは違うこと。

そして異例の女子であること。


みんな不思議に思い…

女子はもちろん、男子でさえこの話題で持ちきりだった。


そして私への陰口は増していく一方。



「今日もすごいね…」


「う、うん。」


優希と二人で廊下を歩いている。


毎日のことで、少しは慣れてきたけれど。

やっぱり気になるこの視線。


どこにいても、私を見てコソコソと話しているのが見える。



「やっぱり柚にはついてんだろうねー」


「え?」


「矢野斗真っていう存在がさ。」


私たちは移動教室から帰りながら、そんなことを話していた。


その途中、

「お、片岡!いいところにいた!」


階段近くで声をかけてきた、担任の若い男の先生。