「怯えてんぞ。」
そう言った矢野先輩の言葉を、睨み返す形で答えた。
そして…
「斗真、勝手な行動は許さないから。」
屋上はピリピリとしていた。
二人は私の目の前で、火花を散らしながら睨み合っていた。
それから沈黙の中で、矢野先輩が口を開いた。
「俺はお前の指図をうけるつもりはねえよ。それにターゲットにしたやつを、どう扱うかは俺の自由だろ。」
少しの間また沈黙となった。
二人は見つめ合う。
というより、また睨み合う。
じっと矢野先輩を見る桐瀬先輩は、だんだんと寂しそうな表情を見せていく。
そして、黙って屋上から出て行った。
その先輩の後ろ姿が少し気になった。
私はとっさに立ち上がる。
屋上の扉に手をつき、出て行った先輩を目で追った。
