王様のいる学校




言ってしまったあと。

自分が大変なことをやらかしたと自覚した。



「なんだよ。」

矢野先輩の気を引いてしまった。


声を出したのはいいものの、特に何と言うかは決まっておらず。


優希を助けたい一心だったのだが…



「え、えっと、その…」


「聞こえねえ、ハッキリ言えよ。」


きっと矢野先輩は怒っている。

そもそも声が怒っている。


矢野先輩の視線は優希からそれて、私へと変わった。



「あ、お前。朝の…」


私が黙って固まっていると、ハッと思い出したように指をさす。


なにを言われるか。

不安で仕方なかった。


「……猪女。」


「え?」


矢野先輩はふっと笑みをうかべた。


そして……

「気に入った。」


耳を疑うような言葉を発した。


それを聞いて驚いたように顔を見合わせる、四天王の他三人。






「ターゲットは、…お前だ。」