先輩の家から出た私は、篠山先輩と二人で夜道を歩いていた。
もっと先輩といたい気持ちはあったけど、でもそれよりも帰らなければならない理由があった。
「ねえ、駅どっちだっけ?」
T字路に出たところで、篠山先輩は振り返った。
「あ、右です。」
「そっか、右だったかー。私、方向音痴だから、すぐ忘れちゃうんだよね。」
照れたように笑って、鼻歌を歌いながら左へ曲がった。
って、左!?
「先輩!そっち左です!」
「え?あ、間違えちゃった。」
これは方向音痴というより、人の話を聞いていないという方が正しいか…
さすがに方向音痴は重症なようだ。
「駅まで一緒に行きましょうか?」
これじゃ絶対にたどり着かない。
心配で仕方なかった。
「そんな悪いよー。」
「大丈夫です!駅からでも帰れるので。」
「うーん。じゃあ、お願いしようかな?」
ということで、一緒に駅へ行くことになった私たち。
