「え、あ、ちょー待て!」
気づいたら撫子に続いて、ルイと秀司まで靴を脱いであがろうとする。
でも、入られたらまずい。
だって今日は、いつもならいないやつがいるから。
「え…?」
しかし、時すでに遅し……。
止めに入る間もなく、もう撫子の目にはリビングの光景がうつっていた。
広太と遊んでいる、りんごの姿。
後から入った二人も、リビングを覗いて驚いた顔をする。
りんごはというと、三人が突然入ってきたことで、その場で固まってしまう。
「あ、えーっと、りんごちゃんだ!」
重たい空気になった場を和ませようと、慌てて秀司が口を開く。
「ゆ、柚です…。」
ルイの顔はだんだんと険しくなり、撫子は真顔でりんごを見ていた。
「あっ、秀司くんだーーー!」
そんな時の救世主。
まだ場の空気なんて読むことは愚か、気づくことさえできない五歳の弟。
広太は秀司を見つけると、走り出して飛びついた。
