「お前、マジで忘れてんの?今日、何の日か…」
秀司の言った言葉に対する俺の反応を見て、三人は驚いた顔をする。
今日って、何かあったか?
特に約束があった覚えは……
記憶をめぐっていっても、全く思いつかない。
「もう!今日は広太の誕生日でしょ?」
耐えきれなくなったように、呆れた顔のルイが言った。
その言葉にハッとして、玄関にあるカレンダーに目をやる。
「やっべ、今日って8月22日。」
完全に忘れていた。
そうなると、あの謎が明らかになる。
りんごに会いたいと、うるさいくらいに言っていたこと。
なんで今日にこだわるのか、すごく不思議だった。
だけど、今日は広太の誕生日。
俺が誕生日のことを忘れていると知ってて、せめてりんごと遊びたいと思ったんだ。
俺は、本当に最低な兄ちゃんだ……
「じゃあ、入らせてもらうよー。」
カレンダーを見ながらボーッとしているうちに、撫子は勝手に家へあがろうとしていた。