王様のいる学校





次の日。


私たちはバイトをあがると、すぐに矢野先輩の家に向かった。




「あれれ?二人とももしかしてデート?」



帰りに出くわしてしまった先輩たちは、みんなニヤニヤしながら冷やかしてくる。




「ちげーよ!変な噂たてんなよ?」



相変わらず、先輩に対してもタメ口。



でもその生意気さがかっこいいと、みんなメロメロなんだ。



きっと高校での先輩を見たら、そんなことも言ってられないだろうけど。






「おい、ついたぞ。」



歩いて10分くらいのところ。


普通にきれいな一戸建てだ。



お家にあがらせてもらうと、すぐに広太が迎えにきてくれた。




「ゆずー!!!」




パァと顔を明るくして、走りながら私の名前を呼んでいる。



本当に可愛いな。



「広太、久しぶり!」


「わーい!柚だ、柚だー!」



広太はぴょんぴょん飛び跳ねながら、グイグイと私の腕を引っ張って、中へと連れていこうとする。