可愛くて天使みたいな子だった。
矢野先輩も整った顔をしているし、弟の広太も子どもながら整っていた。
やっぱり兄弟か。
本当に可愛かった。
「おお!広太もすげー会いたがってたよ。なんでか、明日明日ってうるさいし。」
先輩から広太が私の話をよくしている、ということを聞いた。
そんなに会いたがっててくれてたのか…
そう思ったら、先輩が広太のために私を誘ったんだとしても、なんか嬉しくなってきた。
でもあんなに少しの間しか会ってなかったのに、こんなにも懐いてくれてたなんて、純粋に嬉しい。
「あいつ、きっとお前のこと母親と重ねてんじゃねーかな。」
「え?」
「広太は母親の顔、覚えてないから。きっと守ってくれたお前のこと、母親みたいに思って懐いてんだ。」
少し寂しそうな雰囲気の先輩。
お母さんの話をする時はいつもそう。
絶対に寂しそうな顔をする。
亡くなったからって理由じゃなくて、もっともっと深いところに理由があるような。
そんな表情。
