王様のいる学校





「何、一人で妄想してんだよ。」




どこかに飛んでいた意識を取り戻すと、目の前でじっと私の顔を見ている先輩と目が合った。




「お前、変なこと考えてんだろ。」



み、見抜かれた。


でも、さすがにこんなこと言えない。




「先輩!私、明日行きます!!」



うん。

なかったことにしよう。



そう思って、元気いっぱいの笑顔で言う。




すると、先輩も笑顔になった。



そして、耳を疑うようなことを言い出す。





「おう!これで広太が喜ぶ!」





こ、広太?


広太が喜ぶって、もしかして……



「広太もいるんですか?」




誘った目的が見えてきてしまった。




「は?じゃあお前、何のために家来るんだよ。」




「な、何のためって……」



先輩に会いたいからっていう、立派な理由があるのですが…?



そんなことは当然知るはずもないので、先輩は不思議そうにしている。




そんな先輩に悲しくもなりながら、ふぅーと気持ちを切り替えた。




「でも、私も広太に会いたいです!」