「ごめんなさい。」
しょぼんと落ち込んで謝る広太をみて、私が先輩に説明することにした。
「広太、お母さんからもらったプレゼント。横断歩道を渡った時に、落としちゃったんです。」
そう言うと、小さい腕の中にしっかりと握られているくまのぬいぐるみを見た。
「広太、渡り終わってから気づいたみたいで…。それで取りに戻ったら、途中で信号赤に変わっちゃったんです。」
あの時は腕時計みて、バイト間に合うかな?なんて考えてたけど。
広太見て、信号赤なの見たら本当に焦って…。
カバン放り投げて走り出してたもんな。
もう無我夢中だったと思う。
「ちょうど私が渡る前のところにいて、危ないと思ったら広太抱えてました。最後、滑り込んだせいで頭うっちゃったんですけどね…」
全ての経緯を話し終わると、先輩はまた申し訳なさそうに謝った。
そして広太を抱き上げてひざの上にのせると、優しそうに頭をなでた。
「あの…。お母さん、亡くなられたんですね。」
私は二人をみていたら、思わず言ってしまった。
