------------*





思い出した。

思い出したんだ。全て。



あれは夢なんかじゃない。


あれは妄想なんかじゃない。




あれは、現実だ。


紛れもなく、本当にあった世界。





私は校舎を走る。


赤い夕日に染まる空を背に

私は目的の人物を探して。





そして、三階の廊下で見つけた。

彼の、背中。





「待って…!」

「……?」




声をかけると、振りかえる男。




はぁっはぁっと

盛大に息を切らす私を見て、

彼は少し驚いていた。





「……どうした、橘花。早く帰……」

「全て、思い出しました…!」

「………!」




そう言うと、彼は目を見開いた。