約束とクローバー

入学式。

校長先生の挨拶から始まりを迎える。
次に在校生代表、新入生代表の言葉。
そして在校生による校歌斉唱。

締めの言葉で入学式は幕を閉じる。

結局、私は徳以外の新入生と言葉を交わしていない。

この様な状況下に置かれて、
改めて子供時代の純粋さを羨ましく思う
そして、私の無力さを再確認する。

血縁関係にある人や親しくなった友人、遠い位置に属する他人。
彼らに対してなら、言葉を投げかける事は容易い事。
しかし『唯のクラスメイト』となると別

近い様で、遠い。中途半端な距離。

私はこの距離感が苦手なのだ。

割れ物に、そっと触れるような感覚で。
彼らとは接しなければならない。
そうしないと、其れは容易く崩れてしまうから。

出来上がっていない関係は、脆く弱いものだ。

私は其れをその様に認識している。
だから、駄目なんだろうな。

一歩踏み出そうとする勇気を持てば、
徳のように、本能の赴くままに他人と接する事が出来るのだろう。

頭では、遠い昔の内に理解している。
それも痛い程に。

――でも人間。
頭で理解してるからって、出来る出来ないは亦別の問題だよね。

本能以上に、理性が『恐怖』を叫ぶから。


入学初日、是迄に無い程私は意気込んで、そして消沈した。