高校生になって初めて知った。
それとも、各担任の先生によって異なるのかな?
よくわからないけれど、

――自己紹介のターンがないッッ!!

そして中学時代と異なり、名札もない。
詰まり早い話、名前がわからない!

話し掛ける時に名前から聞け、と。
そう言う事なんですか、先生……。

中学の時からの友人は皆離れ離れになっちゃったし、他の人たちはそれなりに知り合いとか居るらしくて、既に幾つかのグループかに分裂しているし……

あっ! 徳は?!

…………流石徳。
既に近所の席の人々と仲つむまじくやっておられる。

よ、よーし! 私も!!!

「あ、あのっ」

「ねーねー、これさ」
「あ~……だよね~!」
「あとさ、…………」

スルー、ですか。

甲高い笑い声が響く。
悲しい。
こういうの、上手に入るの得意じゃないんだよな。

会話し始めたら、弾むんだけど。
それまでの道のりが長く険しいものばかりで――中々馴染めない。
中学の時は、小学生の頃の友達が居たから、そこそこ早い内に馴染むことができたし、小学生の頃は無邪気な子供心を兼ね備えた人たちばかりだったから、いつの間にか輪の中に入ってたっけ?

しかし、高校生になって――
年齢を重ねていくうちに余計な理性まで伴うから、才能のない人は直ぐに弾かれ、孤立する。

もっと、どんな人とでもコミュニケーションを上手に図ることの出来る人間に生まれたかった!!

中々誰かに話しかけられないまま、私は少しばかり重い気持ちで入学式を迎えた。

――最初の意気込みは、なんだったのか

溜息が漏れる。

自分から積極的に、いかないと駄目だよね。
徳との出会いは本当に奇跡だった。
徳が積極的に話し掛けてくれたお陰で、私も最初のうちから弾けたテンションで、有りの侭徳と接することが出来た。

でも、いざ自分から話しかけようとすると、無意識のうちに素の自分を取り繕う癖がある。

否定されることが怖いのだ。

恐れている。

駄目だと知っているけど、

本能的に、
曝け出すことに恐怖を感じている。

どう足掻いても、漫画やアニメのキャラクターのようにはなれやしないのだ。

「わかってる、筈なのにな」