~勇太side~ 勇太の部屋



?「あ、あの~。」



その女は、きっと気付いてしまっただろう。



俺には見えるということが。



無視しよう。



?「む、無視ですかぁ?」



勇「寝させろっていってるだろ。」



?「やっぱ見えてるんですね!」



勇「何だよ。」



?「嬉しいです!ずっとこの部屋誰も来なかったんですよ?」



勇「そりゃそうだろ。」



?「え?何でですか?」



勇「あんたが驚かすからだろ。」



?「いや~。だって、ここに来た人を驚かすのが私の生きがいですから!」



勇「お前死んでるだろ。」



?「あはは。そうでした。...でもやっぱ、いまいち実感わかなくて。」



勇「お前名前は?」



?「え?幽霊に名前聞いてくれるんですか?」



勇「やっぱいい。」



?「あ~!言います!言いますって!私は冬川琴羽(ふゆかわ こと)です!あなたは?」



勇「俺は、鳴海勇太だ。」



琴「勇太。よろしくです!...というか、本当にこの前髪邪魔なんですけど。顔見えてませんよね?」



勇「見えてない。貞子みたいだ。」



琴「はぁ。やっぱそうですよね...。服も何ですか?これ。まるで、幽霊みたいじゃないですか!」



勇「だから幽霊だろ。」



琴「でも、本当に嬉しいです!まさか、私のこと見える人がいるなんて!」



勇「俺は面倒だけどな。」



琴「そんなこと言って~。本当は嬉しいんでしょう?」



勇「消えろ。」



琴「あ~!ごめんなさい!でも、私消えないんですよ。成仏できないというか...。」



勇「ていうか、何でここの部屋にとり憑いてるわけ?」



琴「それが、よく分かんないんです。死んだ理由とかも曖昧で。...というか、私本当に死んだんでしょうか?」



勇「知らねーよ。」



琴「あ、もう1時ですけど。」



時計を指差す幽霊。



勇「あー!また寝不足になるだろ!いい加減寝させろ!」



琴「はい!寝ていいですよ!どうぞ!見てますから!」



勇「寝づらいんだけど。視線が。」



というか、それで見えてんのか?



前髪を分ければいいのに。



琴「あ、前髪分ければよかったんですね。」



アホだ。コイツ。