「兄貴に頼みがあるんだ」



それはまだ厳しい寒さが残る、3月末の事だった。



香那と別れた俺は、半ばヤケになっていたんだと思う。


余計な事を考えないように、ただひたすら働いた。


もう二度と誰かを好きにはならない


そう決めていたし、


もう二度と誰かを好きになる事はないだろう、

そう、何処かで諦めてもいた。