「あれも嘘。美亜を不安にさせる為の芝居だったから。本当は子供欲しいよ」

そう言って、凌祐は唇を重ねた。

「あの子宝のお守りも、たまたま唯香が友達から聞いて知っててさ。偶然、その話になったから、思い出したんだよ」

「だから、持ってるか聞いたの?」

すると、凌祐は頷いた。

「捨てられたら嫌だからな」

「捨てるわけないじゃない。お守りなのに。じゃあ聞くけど、私が佐倉さんが元気かを聞いた日、かなり上機嫌だったじゃない。何で?てっきり、佐倉さんの妊娠を喜んでいるのかと思ったんだけど」

憎まれ口を叩いた私に、凌祐は恥ずかしそうな顔をした。

「あれは、唯香とお守りの話をした日で…。想像したら楽しくてさ」

「想像?」

「そう、想像!いつか、俺たちにも子供とか出来るのかな…って想像したら…」

こんな時の凌祐は、とても子供ぽい。

でも私は、そんな凌祐を嫌いじゃない。

「いつか…、そうなったらいいね」

笑顔を浮かべて今度は、私からキスをした。

その体を痛いくらいに、凌祐は抱きしめてくれたのだった。