「やっぱり、かけてくれると思ったよ」
電話越しの敦貴は、自信たっぷりだ。
「別に、敦貴を頼ってるわけじゃないの。私はただ、真実が知りたいだけ。だから、力を貸して欲しいのよ…」
強気に聞こえる言葉を選んでみたものの、語気は弱くなってしまう。
すると、それを見過ごさなかった敦貴が笑ったのだった。
「それが“頼る”って事だろ?俺は大歓迎だよ。だから美亜も、そんなにケンカ越しになるなって。もう少し、穏やかに話そうぜ」
悔しいけれど、敦貴の言う通り、結局頼っているのだ。
「分かったわ。ケンカ越しにはならない。だから、教えて。どうやって情報を仕入れているの?私、自分の目で確かめたいの」
「もちろん、教えてやるよ。その前にさ、どうだった?佐倉さんの情報、もう知ったんだろ?」
「敦貴の言う通りだったわ。だから、きちんと相手を確かめたいのよ」
今夜は、凌祐の帰りが遅くなる。
そして、新製品の開発を圭祐は知らない。
それを、一体どう理解すればいいのだろう。
誰が、本当の事を言っているのか、それが知りたかった。