朝はおはようのキスで…。

凌祐にお願いされた通り、気持ち良さそうに眠る寝顔にキスをする。

すると、凌祐はゆっくりと目を開け、小さな笑みを向けてくれるのだった。

そのやり取りが、私には幸せでいっぱいだ。

もうこれ以上、望むものなどない。

そう思っていた私の日々に、突然新たな嵐がやって来たのだった。

それは、穏やかな平日の昼下がり。

チャイムの音と共に玄関へ出てみると、そこには敦貴がいたのだった。

「敦貴!?何でここに…」

驚きというより、恐怖すら感じる敦貴の登場に、すっかり戸惑っている。

だけど、敦貴の方はニヤリと笑っていた。

「家くらい分かるよ。浅井社長は有名人だから」

「だからって、何で来たの?何か用事?」

険しい顔を向ける私を挑発する様に、敦貴は平然と答えた。

「何か用って事はないだろ?少しだけ、美亜に会いたいと思っただけなのに」

「家に来られちゃ迷惑よ。それに、凌祐だって留守だし」

突っぱねるつもりで言ったのに、敦貴には通じていない。

それどころか、

「じゃあ、社長がいる時にでも来ようか?その方が困るだろ?」

と言ったのだった。