ベッドで眠る時は、素肌で抱きしめ合ったままがいい。

そう思う様になったのは、凌祐に抱かれる様になってから。

微かに香る甘い匂いに、酔いしれてしまっている。

「凌祐って、いい匂いがするね。これって香水?」

ベッドの中で、凌祐の胸に顔を埋めた私は、その甘い匂いを嗅いでいた。

「う~ん?コロンの事かな?美亜は、この匂い好きか?」

凌祐は閉じかけた目を開けたけれど、それは半分しか開いていない。

眠たそうな声を出しながら、私の髪をゆっくりと撫でている。

「うん。好き。元々、つけてたっけ?」

「ああ。だけど、一人暮らしを始めた頃からだから、美亜は知らなくて当然だよ。美亜が好きなら、ずっとつけるから」

「うん。ありがとう。じゃあ、私の匂いは?どんなのが好き?」

こんな質問をしたのは、凌祐を眠らせない為。

なぜだか目が冴えてしまい、凌祐に眠って欲しくないのだ。

一人で起きている事すら、寂しいと思う様になっていた。

「俺は、俺の匂いが好き」

「えっ!?」

自分の匂いが好きとは、どういう意味なのか。

予想外の答えに、完全に戸惑う。

「だから、俺の匂いだよ。美亜から、自分の匂いがするのが好きだな。“抱いた証拠”って、感じがするだろ?」